油を考える 2015年5月

 皆さんお元気ですか、朝比奈です。

 最近サラダ油が悪いとか、マーガリンがよくないとかいろいろいわれており、本当はどうなのかを調べる必要があると思い、農文協版・奥山治美氏の本を読んでみました。内容を要約しますと、

以前は中性脂肪とコレステロールが健康に悪いので動物性脂肪を減らしてこの値を低下させる植物油(リノール酸)を取るべきだといわれてきた。しかし、エスキモーの調査で動脈硬化や心筋梗塞の原因は「血中コレステロール値」ではなく「血小板凝集能」であることが分かり、植物油のうちで「リノール酸」はこれを高め「αリノレン酸」は逆に低下させることが判明。

というものです。

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 ちょっと驚きですが、この本の発行が1989年、その後著者は引き続き研究を行い、最近の著書の題名が「オリーブオイル・サラダ油は今すぐやめなさい!」となっている点からみて、主張は一貫しているようです。コレステロールを低下させるという観点から私たちの周りにはリノール酸(紅花・コーン・米・胡麻・大豆油と菜種油を加工したキャノ―ラ油=サラダ油等)がいっぱいですが、リノール酸の必要量は一日約1~2g、普通の食生活をしていればヒトではこの欠乏症(成長抑制・皮膚病など)は起こらないとされています。逆に過剰摂取が、アレルギー・ガン・心筋梗塞・高血圧・認知症などさまざまな慢性病の引き金になるとされ、これを防止して中枢神経系の機能を高めたり視力を維持したりするには、αリノレン酸(エゴマ油・シソ油等)がよいということです。成人病を気にして肉の脂身を除けたりパンにバターを塗るのをやめたりしても、野菜サラダにかけるドレッシングやマヨネーズで帳消しになってしまうというわけで何ともショッキングな話ですが、著者もいうようにわたしたちは脂肪の総摂取量を減らし小食に心がけるという観点が最も大事なのかもしれません。

 ところで、サラダで連想する人物に明治の物理学者寺田寅彦がおり、「天災は忘れたころにやってくる」という諺も同時に思い起こされました。富士の噴火はこの4月は何とか回避されたようですが、4月中に観測された富士箱根の低周波地震(=マグマの動き)はかつてない回数だったのです。気象庁もようやく5月になって箱根の立ち入り規制を発表しましたが、富士と箱根は一体の火山であり、いつ噴火が起きてもおかしくなく引き続き注意が必要です。

 では、来月またお目にかかりましょう。