災害はなぜ起こるのか 2009年8月

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 皆さんお元気ですか、 朝比奈です。

 気象庁の梅雨明け宣言とは裏腹に、福岡から山口を中心とした、西日本の豪雨はすさまじいものがありました。今後も警戒が必要ということですが、「地元の気象台によると、湿った空気が太平洋高気圧を回り込むように、九州北部の梅雨前線へと流れ込んだ」現象だそうです(朝日新聞7月28日 天声人語)。そして、「雨域は東へ北へと広がり、群馬では竜巻らしき突風が暴れた」のでした。

 まぁ、専門用語を用いた文に、何となく納得せざるを得ない感じになりますが、それにしても「地元の気象台」は、事態を予測できずに事後報告をしているような気がしますし、「天声人語」も感慨深さはともかく、分かったような分からないような文章しか書いていないと感じたのは、私だけでしょうか?誤解を恐れずに、あるいは当局からのお叱りを覚悟のうえで申し上げれば、実は両者ともこうした天変地異の原因については、明確に把握していないのだと思われます。気象台は空模様を「観測」して短期的な予報をするだけですし、気象学者たちは気温・海水温・大気圧・風速などから得られた過去のデータにより、さまざまな気象モデルを考案しただけとも考えられるのです。そして、短期的予報や気象モデルの破綻が、かなり頻繁に起こることは誰もが経験していることではないでしょうか。

 実は、欧米諸異国では既に打ち切られているのに、わが国ではつい最近まであるいは現在も膨大な予算を投じて行われていることに、地震予知があります。しかし、「地震の原因となるプレート(地球を覆う岩板)の沈み込みや活断層の破壊はきわめて複雑で,それらを詳しく観測しても予知は困難」と考えられているのです(日経サイエンス2001年11月号)。

 結局、「事象」が発生してからのメカニズムは、科学的説明も可能なのですが、なぜその「事象」が起きるのかは分からないといった方がよいのではないでしょうか。個人的経験からすると、雷や突風・豪雨や地震には何か意思的なものを感じることが度々だったような気がします。そこを解読していくことこそ、科学者が取り組まねばならない課題と思われるのです。

 では、来月またお目にかかりましょう。